「NHKスペシャル ドキュメント 能登半島地震 緊迫の72時間」をみた。
プロジェクトとしてみると、人の生死が関わる、こんな難しいプロジェクトはあるのかという感じ。
そもそもプロジェクトのゴールとしても、一人でも多く生存させることなのか。命に大小をつけることは誰にもできないと思うが、現場の医師は判断しないといけない。
ステークホルダーとしても、国、県、市、自衛隊、ボランティア、被災者、現場医師、消防団…と多岐にわたり、命がかかわっている中で互いに利益相反しか起きていない。
地震の中で、現場からタイムリーに正しい情報が上がってくるような状態ではない。意思決定する人は情報がない中で判断する胆力を求められる。胆力がない人が意思決定するポジションにいると、現場の情報くれくれ君になって、全員共倒れになりそう。
一番苦労するのは、現場の人だと思う。一人でも多くの人を救うために精一杯やっている中で、命の選別も求められる。
組織組成にも時間がかけられない状況になる。現場は救助も進めないといけない。国がトップとして意思決定をしようにも、情報も上がってこないし、現場から遠すぎて状況をつかめないだろうし、何を選んでもステークホルダーの誰かとしこりが残る選択になる。かといって、市とか県でハンドリングできるような大きさの問題ではないように見える。
リスク管理としては、発生確率を減らすことはできないから、発生した時の影響を軽減することが重要になる。リスク対策として、普段の危機対応マニュアルを整備しておくとか、訓練も真面目にやっておくことが対策になるけど、人間の性質として真面目にやるのが難しい。
こんな状態をハンドリングするとしたら、官僚的な組織なので、それを動かせる権力を持っていて、危機対応を普段からシミュレーションできて、何かを捨てる決断ができるメンタルがありかつ、決断理由を説明できる人がマネジメントするしかないのかな。そんなスーパーマンはいないから、危機対策委員会を作って、何とかみんなで決めるのだろうな。
システム開発においても、災害対策訓練をするが、どれくらいの企業が真面目にやっているのかな。機能的にも災害対策の部分は削りがちになる。実際に災害が起きた時を考えると、災害時に運用部隊を会社に来させること、システムのバックアップセンターへの切り替えを速やかにやること、業務影響を把握して説明すること等が必要になる。そのために、各システムのSLAを知っておくとか、システム間の連携方式を知っておくとか、業務での使われ方とか、期限ある系の作業の延長方法を知っておくとか、色々把握しておかないといけないのだろうな。
昔、研修講師が言っていた事で、災害対策訓練の中で、バックアップセンターへの切り替えを1分でもしないと、実際に災害が起きた時には切り替えできません。と言われた事があったが、結局そこが全てなんだろう。